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ゲーテの名作「ファウスト」を読んでみよう!訳本のオススメ5選!

大学時代の苦い思い出です。

ある日、友人から、
ゲーテ作「ファウスト」の、
いい訳本はないか、と尋ねられました。

友人は英文科で、
第2外国語にドイツ語を選択。

その学科の夏休みの課題で、
「ファウスト」の訳本の感想文を、
提出しなければならなかったのです。

そんなこと、
国文科の私に聞かれても…、
とは思いましたが。

待てよ。
確か森鴎外が訳してたよな。
ドイツに留学してた医者だもんな。

ドイツ文学の格調高い名古典を、
巨匠の名文で味わえるなんて、
これは一石二鳥!

というわけで、
森鴎外の訳本を、
オススメしてみました。


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おすすめしてみたものの・・・

長い夏休みが明けて、
久しぶりに学校で友人と、
顔を合わせてみると…。

「あんたのオススメの訳本
さっぱりわからんかった」

え…ええっ!
鴎外の「ファウスト」は、
名訳とも言われているのに!

しかも、さほど古文調でもなく、
口語体に近くて読みやすい、
と思って薦めてみたのですが。

「古文の授業がイヤでイヤで、
英文科に進学した私には、難しすぎた

納得。

友人は味わい深い文章より、
ストーリーを把握するだけで、
良かったようです。

でも当時は、私自身、
森鴎外の訳本しか知らなかったのです。
もっと他の訳本を知っていれば良かった。

今なら、誰をオススメするかなあ。

ということで、
久々に「ファウスト」の訳本を、
読み比べてみました。

「ファウスト」ってどんな内容?

「ファウスト」は韻文詩形式の、
戯曲です。
あらすじは簡単に言いますと、

老主人公のファウストが、
悪魔と取引をして若返り、
さまざまな辛苦と栄華を体験する。

しかし、最後は、
悪魔との賭けに負けて
を奪われそうになるが、

亡くなった恋人の霊のおかげで、
その魂は悪魔のものにならず、
昇天して救われる。

まあ、おおざっぱに言ってしまえば、
こんな感じです。
(おおざっぱすぎますが…)

要するに、
人間の業を描いた物語ですね。
内容はとても壮大で深遠です。

これが韻文詩という、原文でしか出せない
ニュアンスで構成されているうえに、
ギリシャ神話のファクターもてんこ盛りなので、

原作の雰囲気を損なわず、かつ、
物語のダイナミズムも表現するとなると、
この翻訳はかなり難業とも言えます。

その点をうまくクリアされているのは、
以下の5人でしょうか。
オススメ理由も挙げてみます。

「ファウスト」訳本はこれがオススメ!

  • 池内紀(集英社文庫)
  • とにかくわかりやすく、やさしい文章です。
    現代語調の散文形式なので、
    ストーリーがすんなり頭に入ってきます。

    あらすじを掴むには最適なので、
    初心者にはうってつけでしょう。
    入門編という感じです。

    私の友人にオススメすべき訳は、
    これだったな、と今にして思います。

    ただ、ドイツ語の素養がある人には、
    意訳すぎる、原作の格調さを欠く
    と、やや不評のようですが。

  • 高橋義孝(新潮文庫)
  • こちらもスラスラ読める、
    わかりやすい訳ですが、
    池内訳よりは重厚です。

    原作の雰囲気をより重視した、
    美文調と言いましょうか。

    乱暴に言ってしまえば、
    池内訳が大衆小説なら、
    高橋訳は純文学、といった感じです。

    また、これぞ名訳!という声も多く、
    高橋訳の一般評価は、結構高いようですね。

    ただ、巧みな意匠が、
    かえって原文への忠実さを欠いている、
    という意見も、あるにはあるようです。

  • 手塚富雄(中公文庫)
  • 広く名訳と称賛されているのが、
    この手塚訳です。

    韻文詩の持つリズムを損なわず、
    かといって、難解な感じは全くなく、
    格調高く、流れるような美しい訳文です。

    高橋訳を小説とするなら、
    手塚訳は詩文、という感じですね。

    しかも、原文に忠実に訳されていますので、
    実際「ファウスト」の舞台を見た人などにも、
    評価が高いようです。

    ただひとつの難点は、入手困難なこと。

    中公文庫版はすでに絶版で、
    第1部はまだ入手可能なのですが、
    第2部はネットでもかなり高額になっています。

    ただ、第1部だけでも、
    読んでみる価値はあると思いますよ。

  • 相良守峯(岩波文庫)
  • 訳者の相良は明治生まれ。
    ドイツ文学研究の権威で、
    特にゲーテ研究の第一人者です。

    ゆえに、もちろん訳文は原文に忠実
    この点は、手塚訳と同じです。

    多少、言い回しが古いため、
    若い人は、とまどうかもしれませんが、
    とても親切で丁寧な文章です。

    ただ、学者肌が出ているというか、
    ちょっと堅苦しい雰囲気がありますね。
    たまに論文を読んでいるように感じます。

    それを、重厚さの表れと見るか、
    読みづらいと思うかは、
    個人の感性によるのでしょうが。

  • 森鴎外(ちくま文庫)
  • ご存知、明治時代を代表する、
    文豪、森鴎外の訳文です。

    文章が古くて難しい、
    難解な漢字が多くて読みづらい、
    等の意見もありますが、

    私は、鴎外にしては、
    わりとくだけた口語体で、
    読みやすい、と思います。

    少なくとも、
    「舞姫」なんかと比べると、
    格段にやさしい文章です。

    もちろん「鴎外にしては」という、
    条件付きですけど(笑)

    鴎外訳の素晴らしい点は、
    言葉選びと文章構成のセンスが、
    卓越していることです。

    訳文であることを越えて、
    すでに文芸作品の域に入っている、
    古典的名訳ではないでしょうか。

おわりに

こうしていろいろ、
翻訳を読み比べてみると、

訳者の個性によって、
作品からうける印象が変わるなあ、

としみじみ思います。

ストーリーやテーマは、
もちろん同じなんですが、
味付けの濃さが微妙に違う、というか。

いま大学時代の友人に、
他の訳本を薦めてみたら、
どんな感想が返ってくるかな?

そう思って、とりあえず、
ファウストってどんな話だっけ?」
と前フリでメールしてみました。

すると…

「悪魔のおかげで若返ったオッサンが、
舞い上がって、やりたい放題やって、
最後、悪魔に殺されそうになる話

…あかん!
やっぱりもう一度、
別の訳本を薦めてみます。


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