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縄文時代の服装ー冬

神山久美先生は元小学校の教師。今は家の一部を改造して小さな学習塾を開いています。

小学校の5年生のあさみちゃんは久美先生が小学校にいたころの生徒です。今日も宿題を手早く済ませると先生のところにやってきました。

あさみちゃん「先生こんにちは!これ見て、セーター買ってもらったの」

久美先生「あらかわいい、綺麗な水色の丸首で、とっても似合っているわよ」

あさみちゃん「寒くなってきたからって、お母さんが」

久美先生「暖かそう、良かったわね。もう冬物のシーズンか、先生もセーターを出そう」

あさみちゃん「ねえ先生、縄文時代も冬はやっぱり寒いよねえ。どんな服装していたんだろう。暖かくなるようなものあったのかなあ」

久美先生「そうねえ、きっと獣の皮を利用したと思うけど。じゃあ今日は縄文時代の冬の装いについて見てみようか」

あさみちゃん「イェイ!やったあー」


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久美先生「今よりもずっと自然に沿った生活をしていた昔の人たちはその恵みに感謝して、変化に富む日本では秋は秋の冬は冬の生活をしていたのよ」

あさみちゃん「秋の生活、冬の生活って?」

久美先生「秋は木の実や山菜の採集、冬は狩り、って言ったところかな。1年中やるべきことはたくさんあって、だからそういう作業に合った服装をしていたと思うの」

あさみちゃん「冬だって、寒いからってじっと家の中にいたわけじゃないってことだ」

久美先生「縄文時代の人々はカラムシやアカソといった植物から繊維を取り出して撚り合わせ、絡み編みにしてアンギンと呼ばれる編布を作っていたことは話したわよね」

あさみちゃん「魚の骨なんかで作った縫い針もあって、それで縫っていたんだよね」

久美先生「そう。でもさすがにこれだけでは冬は寒いわよね、雪も降るし。そこで毛皮の登場。でも、衣服の場合と同様に毛皮も遺物として残っていないの」

    「アンギンの衣服は土偶からこうじゃないかって類推したけど、毛皮はちょっと難しい。なので、アイヌの人々やマタギの人たちが着ているものから想像するというわけ」

あさみちゃん「“マタギ”って?」

久美先生「北海道や東北地方の山間部に住む猟師で、狩猟を専業としている人たちよ。その狩りの方法や暮らしぶりは古い日本の伝統を継承していると考えられているの」

    「それと“アイスマン”」

あさみちゃん「“アイスマン”?アイスを売る人?」

久美先生「言うと思った。じゃなくてえ、1991年にアルプスの氷河の中で発見された約5300年前の男の人のミイラ」

あさみちゃん「5300年前って、日本では縄文時代だよね」

久美先生「正解!新石器時代で、日本では縄文前期から中期かな。ちょうど『三内丸山遺跡』のころよ。身に着けていたものもちゃんと残っているので参考になると思う」

あさみちゃん「で、どうなったの?」

久美先生「“アルプス”で“氷河”っていうから期待したけど、アイスマンが死んだのはどうやら春らしいのね。植物性の繊維で編んだものの上に外套をまとっているんだけど色違いの革をつぎはぎして作ったものを着ていました」

あさみちゃん「毛皮じゃなくて革かあ。でも革を継ぎ合わせるなんてすごいねえ」

久美先生「そうねえ。でも今は縄文時代の話。アイヌやマタギの人たちの服装を考えるとアンギンの上に毛皮を着ていたと考えられます」

    「穴をあけて首を通すか、前と後ろの二枚を両肩のところでとめるか、パタパタするのできっと腰は紐で結んでね」

あさみちゃん「うう~ん、想像できてきた。衣服の他にはどうしていたの?」

久美先生「足はすごく寒くなるし危険だから靴は履いていたでしょう。そこで“アイスマン”が出てくるの」

    「彼は靴底がクマの皮で作られた丈夫な靴を履いていたそうよ。中には防寒のための藁も入れてね、それにゲートルといって、脛の部分は革製のもので保護していたというから、しっかり装備していたという感じ」

あさみちゃん「へえ、すごいねえ」

久美先生「アイヌの人たちが履いていたものでは、サケの皮で作った靴もあるんですって」

あさみちゃん「サケの皮?食べると美味しいんだよね。それで靴を作れるの?」

久美先生「皮をはいでから干して、それで作れるそうよ。防寒のために中にはやはり藁を入れたりしたらしいわ」

    「縄文時代には秋にたくさんのサケが獲れて、冬のための保存もしていただろうと考えられているの。きっと縄文の人たちもサケの靴を作ったと考えられるの」

    「他には鹿の靴。マタギの人たちはカモシカの皮で衣服や靴、それに手袋まで作ったそうよ。縄文時代にもシカはいたから、彼らも作ったんじゃないかな」

あさみちゃん「工夫していたんだねえ」

久美先生「女性の場合ワンピース風の服装でもブーツのように長い靴だったら暖かいだろうし。ズボンなら長いブーツかアイスマンのようにゲートルを巻けば結構しのげると思うの」

    「それに帽子もあるかもしれないわね。“縄文のビーナス”(『棚畑遺跡』出土)と呼ばれる土偶は、帽子のようなものをかぶっていたでしょ」

あさみちゃん「そうだったね」

久美先生「あさみちゃん“縄文ポシェット”って知ってる」

あさみちゃん「ポシェットは知ってるけど、縄文時代にもあったの?」

久美先生「『三内丸山遺跡』で発見されたものでね、イグサ科の草で編まれた籠なんだけど中にはクルミが入っていたんですって」

    「アンギンにしてもこの籠にしても、たとえそれがまだ原始的な段階だとはいえ、“編む”という技術はすごいことだよね」

    「縄文の人たちは寒い冬を乗り切る知恵と技術をちゃんと持っていた。だから帽子だって靴だって作っていたと思うのよ」

    「秋にしっかり貯え保存した食料を食べ、時には狩りで得たノウサギの肉に舌鼓を打ち、竪穴住居も中で火をたくと暖かいそうよ」

あさみちゃん「寒くて食べるものも無くて、なんてイメージじゃないんだね。なんだかほっとしちゃった」

久美先生「心配してたの?それはよかった」

あさみちゃん「先生、アンギンは見ることができるの」

久美先生「新潟県中魚沼郡津南町の『農と縄文の体験実習館』というところで袖なしのものを見ることができるわよ」

    「それにここは1万年くらい前から人が住んでいたということで、『津南町歴史民俗資料館』に、『沖ノ原遺跡』出土の火焔型土器も展示されているの」

    「津南町は日本で初めてアンギンが発見されたところと知られていて、北国の生活の様子もわかるから、縄文の人たちが冬をどのように暮らしていたかも想像できると思うわ」

    「詳しくはH.Pを見てね」

あさみちゃん「了解!」


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